教授挨拶
当科のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。この度、2018年4月に奈良県立医科大学呼吸器内科学講座(呼吸器・アレルギー・血液内科)教授に就任いたしました。(2023年より呼吸器・アレルギー内科へ再編)呼吸器内科学は、肺がん・間質性肺炎・感染症・喘息/COPD・呼吸管理など多岐にわたる病態を網羅します。肺は再生能力に乏しい臓器とされるため、また、ARDSに代表されるように、一旦侵襲が加わると急速に悪化することも珍しくない臓器です。そこで、肺へのダメージを最小限にとどめるために、適切な治療介入への迅速な判断を求められます。また、薬剤、呼吸管理、包括的リハビリテーションなど様々な介入方法があると同時に、病態・治療ともに未解明な部分も多くあり、今後も診療・研究を発展充実させていくべき領域を多数含有する(言い方を変えると、のびしろの大きい)領域です。
近年の分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬の登場による肺がん治療にもたらされた大きな変革は一つのエポックであり、気道疾患領域においても抗体薬による治療がすでに日常臨床で使用され、新規薬剤開発も進行しております。また、画像診断や呼吸管理の機器開発にも目覚ましいものがあります。複数の呼吸器疾患が併存する症例もまれではなく、呼吸器内科医には、気道疾患、腫瘍、感染症や間質性疾患、残存呼吸機能などを総合的に判断できる幅広い視野が必要であります。
このような背景のもと、当教室では、地域医療に貢献し、高い志と協調性をもち、社会に貢献する“高い倫理観とプロフェッショナリズム“をもつ人材を育成していきたいと考えます。このミッションを達成するために、医局員一丸となって、“患者さん中心の診療“であることを忘れずに知識技量の充実・向上に努め、そのマインドを卒前・卒後教育を通じて次世代の医師に伝え、診療と教育の充実につとめて行きたいと思います。
臨床医として不断の努力を続けることは、研究マインドの育成にもつながると考えております。よりよい医療の発展のためには、新しい知見を見いだし、検査方法・治療法を開発していくことが必要です。そのためには、臨床の経験から疑問を見いだし、解決する研究を施行することも必要となります。当教室では、次世代のphysician scientistを育成し、臨床応用につながる独創性の高い研究を志向して、日本や世界の医療をリードする成果を奈良から発信し、さらに将来飛躍する人材を育成していきたいと考えております。
今後とも、わたくしども奈良県立医科大学呼吸器内科学講座、呼吸器アレルギー内科を御指導、御鞭撻いただきますように、宜しくお願い申し上げます。
奈良県立医科大学呼吸器内科学講座教授
室 繁郎