診療疾患

患者の皆様へ

呼吸器・アレルギー領域

肺癌

肺癌はわが国での男性の悪性疾患死亡原因の第一位となっています。外科治療、放射線治療、化学療法などが行われますが、組織型や病期によって治療法が異なります。当科では、呼吸器外科、放射線科、放射線治療科と週1回合同の検討会を行い、治療方針を決定しています。各科と連携を取りながら迅速に対応することを心がけています。最近は抗癌剤の副作用対策が進み、これまで一般的に入院で行われてきた化学療法が外来でも安全に行えるようになってきています。当科では、外来化学療法にも積極的に取り組んでいます。

また個々の患者さまの病状に応じて、最も適切な治療法を提案し、患者さま自身と十分話し合い、安全かつ最も効果的な治療が行えるように努めています。

気管支喘息

わが国の成人の喘息有症率は3~4%であり、近年急速に増加しています。吸入ステロイドの普及により、喘息死は徐々に減少していますが、平成24年度においても1874名の喘息死が認められています。また、喘息死における高齢者の占める比率が85%以上と高率であることも近年の特徴です。典型的な喘息症状を示さず慢性咳嗽が主症状である咳喘息も増加しています。

気管支喘息の治療目標は喘息症状や増悪がなく、支障なく日常生活を送れることです。長期管理において重要なことは、気道炎症に対する吸入ステロイド主体とした抗炎症治療を早期に導入し、継続することです。最近、様々な吸入ステロイド、吸入β2刺激薬、両者の配合剤が使用可能となり、より利便性の高い薬物療法が可能となってきています。

当科では初診時に詳細な病歴聴取、喀痰検査、呼吸機能(気道可逆性試験)と必要に応じて気道過敏性試験(アストグラフ)を行います。長期管理ではピークフローメーターと喘息日誌を用いた自己管理を推進しています。適切な治療により、喘息発作での入院は著しく減少しています。

慢性閉塞性肺疾患

喫煙が主たる原因で徐々に進行する慢性呼吸器疾患のひとつで、呼吸機能検査で閉塞性換気障害を伴うことから慢性閉塞性肺疾患(COPD)と総称されています。現在、男性の死亡原因の第7位にランクされています。わが国の患者数は530万人に達すると推定されていますが、95%以上の患者さんが未診断、未治療であり、早期診断と治療が急務とされています。

呼吸機能検査に加えて、胸部X線写真およびCT検査等を組み合わせることで診断します。栄養障害や骨粗鬆症、心血管疾患などの併存症も併せて診断し治療を行うようにしています。吸入気管支拡張薬や去痰薬などによる薬物療法のみならず、栄養管理、呼吸リハビリテーション、在宅酸素療法なども含めた包括的治療を行っています。

びまん性肺疾患

特発性間質性肺炎やサルコイドーシスに加えて、過敏性肺臓炎、好酸球性肺炎などの病気を気管支鏡検査や、呼吸器外科と連携した胸腔鏡下肺生検などにより診断しています。各種膠原病に関連した呼吸器病変は関連他科やリウマチセンターと連携をとって診療を行っています。

肺高血圧症

原因不明の特発性肺動脈性肺高血圧症以外に、左心疾患や慢性呼吸器疾患、慢性肺血栓塞栓症、膠原病に伴う肺高血圧症などがみられます。近年、肺高血圧症に有効な薬剤が開発され、治療が著しく進歩しています。当科では診断に必要である右心カテーテル検査を積極的に行い、早期診断・早期治療を心がけています。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中に呼吸停止あるいは減弱が頻回に生じることによって、昼間の過度の眠気や集中力の低下、倦怠感などが生じる病気です。居眠り運転による交通事故や労働災害の原因としても注目されています。無呼吸のタイプによって閉塞型無呼吸症候群(Obstructive sleep apnea syndrome; OSAS)と中枢型無呼吸症候群(Central sleep apnea syndrome; CSAS)に大別されます。OSASは一般的に肥満でいびきをかく人に高率に認められ、一般人口の約4%がOSASと言われています。

診断には睡眠中の呼吸状態や脳波などを詳しく調べる終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)が必要なため、入院で検査を行っています。治療は、減量や生活習慣の是正を行うとともに、症状・重症度に合わせ、経鼻的持続陽圧呼吸療法(nCPAP)や歯科装具の装着などを行います。

血液領域

血液疾患

血液専門医スタッフを中心に、現在5名体制で造血器腫瘍全般に広く対応し治療を行っています。

血液悪性疾患(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄増殖性腫瘍など)

急性骨髄性白血病治療では微少残存病変(MRD)を指標にした自家末梢血幹細胞併用大量化学療法を行い、5年生存率89.2%、5年無病生存率78.0%と良好な治療成績をあげています。
同種造血幹細胞移植にも力を入れており、特に高齢者(55歳以上)に対する臍帯血ミニ移植で良好な成績を上げています。

造血幹細胞移植(同種移植、自家移植)

クリーンルームはクラス100を2室、クラス1000を6室、クラス10000を9床完備し、年間20〜30例の造血幹細胞移植を行っています。

再生不良性貧血

厚生労働省の定める特定疾患のひとつで、免疫抑制療法(ATG療法やシクロスポリン治療)を行っています。若年者でHALが一致する血縁ドナーが見つかった場合は、積極的に造血幹細胞移植を行っています。移植できない症例で免疫抑制療法不応例の患者さんに対しては、リチウム療法を行い約6割の奏効率を得ています。